GIS - 測地系について!

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今日は「測地系」についての個人的な備忘録です。

1. 測地系とは

  • 「緯度経度の座標軸を使って、地図画面上の特定の位置を示す際の基準となる前提条件」のことである。
  • 「異なる測地系の間では、同じ『経度・緯度』でも地図上で示す位置が異なる」ということ。

2. 各測地系について

主な測地系について。

  • WGS84
    • アメリカ国防総省策定の「世界測地系(”World Geodetic System”)」であり、(非公式だが)事実上の世界標準である。
    • 楕円体:WGS-84、座標系:WGS84
    • GPS に使用されている。
    • Google マップが採用している。
  • 世界測地系(=日本測地系2011(JGD2011, Japanese Geodetic Datum 2011)
    • 2011年10月21日(測量法改正時)からの日本の公式測地系であり、実質は世界測地系のうち日本が構築した部分のこと。
    • 2011年3月の東日本大震災により大規模な地殻変動が発生しため、 JGD2000 から改定された。
    • 楕円体:GRS-80、座標系:ITRF2008
    • 学術的には「日本測地系2011」、法令上は「世界測地系」と呼ぶ。
    • WGS84 と JGD2011 の誤差はほとんどない(なくなってきた)。
    • 国土地理院で正式に採用されている。(実際は JGD2000 に補正パラメータでパッチを当てて対応している?)
    • 日本で「世界測地系」と言えばこの JGD2011 のことである。JGD2000 や WGS84 と混同しないこと。
  • 日本測地系2000(JGD2000, Japanese Geodetic Datum 2000)
    • 2011年10月20日までの日本の公式測地系であった。
    • 楕円体:GRS-80、座標系:ITRF94
    • 学術的には「日本測地系2000」と呼ぶ。
    • 国土地理院等で正式に採用されている。
  • 日本測地系
    • 2002年3月までの日本の公式測地系であり、”Tokyo Datum” と呼ばれる。
    • 楕円体:Bessel、座標系:日本独自
    • 現在でも日本国内の各種地図情報サイトで採用されている。
    • 「世界測地系(日本測地系2000)」との間で、東京付近で約 450m も誤差がある。

3. 楕円体について

各測地系で扱われる楕円体は以下のように定義されている。

楕円体 年代 長半径(赤道半径) 扁平率の逆数 短半径(極半径)
Bessel 1841年 6,377,397.155000 m 299.152813000 6,356,078.963000 m
GRS-80 1980年 6,378,137.000000 m 298.257222101 6,356,752.314140 m
WGS-84 1984年 6,378,137.000000 m 298.257223563 6,356,752.314245 m

ちなみに、実際は、Bessel(1841年)とGRS 80(1980年)の間に、クラーク(1880年)、ヘルマート楕円体(1907年)、ヘイフォード(1909年)、クラソフスキー(1943年)もある。

4. その他

「日本測地系」をかつての「世界測地系(日本測地系2000)」に変換したり、その逆の変換をする以下のような簡易計算式がある。

# 日本測地系 => 世界測地系(単位は「度」)
緯度(世界測地系) = 緯度(日本測地系) - 0.00010695  * 緯度(日本測地系)
                 + 0.000017464 * 経度(日本測地系) + 0.0046017
経度(世界測地系) = 経度(日本測地系) - 0.000046038 * 緯度(日本測地系)
                 - 0.000083043 * 経度(日本測地系) + 0.010040

# 世界測地系 => 日本測地系(単位は「度」)
緯度(日本測地系) = 緯度(世界測地系) + 緯度(世界測地系) * 0.00010696
                 - 経度(世界測地系) * 0.000017467 - 0.0046020
経度(日本測地系) = 経度(世界測地系) + 緯度(世界測地系) * 0.000046047
                 + 経度(世界測地系) * 0.000083049 - 0.010041

あくまでも「簡易」なので誤差が発生する。また、Web 上に公開されている数多の変換ツールはかなりの(100% に近い)確率でこの「簡易計算式」を使用しているので、誤差が発生することを理解しておく。

もし「日本測地系」をかつての「世界測地系(日本測地系2000)」や現在の「世界測地系」に「正確」に変換したければ、国土地理院提供のデータ(座標変換パラメータ)を使用して詳細に計算(メッシュコード算出、バイリニア補完等)しないといけない。

5. 参考サイト


日本測地系と世界測地系(日本測地系2000)との間の誤差を計算してみようと思い、「測地系」について再調査してみた次第です。

以上。





 

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